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【連載】YouTube『ゆっくり解説』のキャラのイメージと信頼性 昨日に続いて、食生活の話題。 このところ、YouTubeの【ゆっくり解説】を中心とした解説動画を通して、危険な食品や体に良い食品について考察をしてきた。YouTubeは1つの動画を視聴すると、自分で検索しなくても関連するオススメ動画を次々と紹介してくれる。これにより、食生活関連の動画が膨大な数に膨れ上がってしまった。以下、最近「オススメ」された動画のうち霊夢と魔理沙が登場する『ゆっくり解説』スタイルで作成された動画のリンクを抜粋する。【順不同】
あくまで抜粋であるが、上掲のコンテンツは次の4つのチャンネルから配信されており、2023年3月29日朝の時点では、
これらの動画に登場する「ゆっくり霊夢」や「ゆっくり魔理沙」は、チャンネルによって年齢や性格、職業、日頃の習慣などの設定が異なっているが、同じ容姿のキャラが同じ声で棒読み型に喋るため、視聴者は、同一人物が喋っているように錯覚してしまう。 いっぱんに、解説をどこまで信じられるかというのは、語り手に対する信頼性に影響される。解説の内容がいかに論理的で証拠に基づく堅実な内容であったとしても、解説者がいい加減な人間であるというイメージが固定されているとちっとも信じて貰えない。逆に信頼できる人が時たま間違ったことを主張しても「あの人がそう言うのだからきっと正しいに違いない」と受け止めてしまう。 私の場合、YouTubeは、もともと数学系のコンテンツを多く視聴しており、その中での【ゆっくり解説】では魔理沙が解説者、霊夢が聞き手となることが多かったため、魔理沙に対しては「数学に精通し信頼できる情報を提供するキャラ」というイメージが刷り込まれてしまっている。そのため食べ物関連のコンテンツでも、魔理沙が喋ることは正しいというように錯覚してしまいそうになる。いっぽう霊夢は、数学系のコンテンツでは聞き手になっていたため、食べ物関連の動画で解説者側にまわっても、「どこからか聞いてきたクチコミを無批判に紹介しているだけ」という印象を受けてしまう。 さらに、3月26日の日記でも述べたが、同じキャラの主張内容がが動画によって矛盾するようなことがあると、「この人は前とは違うことを言っている」と印象づけられてしまい、一貫性が無い人、さらには二重人格者ではないかというイメージが形成されてしまうから面白いものだ。 さて、こうした動画の視聴を重ねることでどこまで食生活を「更新」できるのだろうか。こちらやこちらに記されているように、解説動画作成者は必ずしもその道の専門家ではない。おそらくネット上の二次資料やウィキペディアなどを参考にしてコンテンツを創り上げているものと思われる。その点では、NHKの『ヒューマニエンス』のような第一線の専門家が語る放送番組に比べると信憑性はやや劣るように思われる。もっとも、同じNHKの放送でも『チコちゃんに叱られる!』のように、時たまトンデモない「解説者」がエエ加減な自説を語る場合もあり、テレビ番組だから信頼できるとは限らない。また民放では、食品の安全性に関する番組の場合はスポンサーへの気兼ねもあり、例えば、ファストフード店や回転寿司店がスポンサーになっている番組で「フライドポテトは有害」とか「回転寿司ネタには偽装品が多い」というようなことは紹介できないであろうから、ネット上で配信されている解説動画のほうがいくらか真実に近いことを伝えている可能性はある。 もっとも解説動画の中にも、食品メーカーから裏金をもらって特定商品を宣伝している場合もあるかもしれないし、またチャンネル登録者を増やすために、人目をひくような、より大げさな主張をしている場合もあるかもしれない。 「食生活を更新する」ことも「数学の知識を更新する」ことも、どちらも「じぶん更新」に繋がるという点では変わらない。しかし、私自身にとって、食生活を見直すことは、老化防止、健康寿命延伸という切実な問題と関係しているという点で優先度が高いとも言える。要するに、数学的知識の更新は、いますぐであっても2〜3年後であってもそれほど違いはないが、食生活の更新のほうは早ければ早いほど自分の健康に直結した改善ができるということだ。 次回に続く。 |