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半田山植物園の温室にあったリュウキュウウマノスズクサ。なお植物園内にはウマノスズクサもあったが、昨年はジャコウアゲハの幼虫に囓られたあと、同じ金網にヘクソカズラが繁茂、しかも岡山理大の研究グループがそのヘクソカズラを観察対象として保護したため、ウマノスズクサのほうは姿を消してしまった。今年はどうなるだろうか。 |
【連載】ヒューマニエンス「“左と右” 生命を左右するミステリー」(11) 「右脳型・左脳型伝説」「肖像画の右向き・左向き」 昨日に続いて、1月8日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、 ●「“左と右” 生命を左右するミステリー」 についてのメモと感想。 まず、昨日の日記で、左利きの人の言語中枢の位置が、
放送では全く言及されなかったが、 ●「右脳優位型(右半球優位型)の人は左利きになりやすい という説も考えることができる。すなわち、言語中枢のある側の半球が常に優位なのではなく、人によっては、言語処理よりも空間的能力や直感的理解をつかさどる半球のほうが優位になっているのではないかというものである。この説からは、
但しこの説が支持されるためには、左利きであり言語中枢が左半球にあることが確認されている人、あるいは右利きであり言語中枢が右半球にあることが確認されている人において、じっさいに、ひらめき、芸術性、空間的把握、...といった能力が秀でているのかどうかを調べる必要がある。もっともこれに類する仮説や俗説は私が学部学生の頃からすでに流布されており、中には一部の知見を誇張したトンデモ本もあり、注意が必要である。 ネットでざっと検索したところ、 「私は右脳型、左脳型」語る人に教えたい残念な真実 最近の研究でわかってきた新しい知見を解説(2023.11.26.配信。著者はアイエンガー先生) という記事で、画一的な二分法が批判されていた。このことに限らないが、多くの人で言語中枢が左半球にあるからと言っても、言語に関連する諸行動が左脳だけで行われているわけではないことに留意する必要があるように思う。 さて、放送では続いて『左側を見せたがる人類』という話題が取り上げられた。まず紹介されたのは、スタジオゲストの大久保街亜さんの研究室で行われたデモ実験であった。
じっさい、『モナリザ』、『真珠の首飾りの少女』(フェルメール)を初めとして、16世紀〜20世紀の肖像画1474枚のうち68%が左の顔を向けていた(McManus, I. C., & Humphrey, N. K. (1973). Turning the left cheek. Nature, 243, 271-272.)。なお、これに関連した大久保さんご自身による記事が、 大久保街亜 (2020).左の顔と右の顔――悪い奴は左頬で笑う. 心理学ワールド, 89, 9-12. に掲載されている。大久保さんは、「言語外の情報で表情が果たす役割はものすごく大きい。なので言葉を(脳の)左側で扱うならコミュニケーションで分業して(脳の)右側で表情を扱うのは不合理なことではない。」とコメントされた。またMCの織田さんは、演技で豊かに顔の表情を作れるのは左側だけであると語っておられた。 このほか、スマホの自撮りで写真を撮る場合も顔の左側を見せる人が多いらしい【データがあるのかどうかは不明】。なお、作り笑顔でなくて自然な笑顔の場合は左右の差は目立たなくなるという。 いっぽう、イギリス王立協会の肖像画として掲げられているマイケル・ファラデー、ベンジャミン・フランクリンは右側を向いているほうが多い。大久保さんによれば、権威・知性を見せたい時には右側を見せたがる傾向があるという【大久保さんの顔写真も右側を見せていた】。 ここからは私の感想・考察になるが、肖像画の右向き、左向きについては2018年12月15日の日記でも取り上げたことがあった。但し、リンク先によれば、音楽家の肖像画に関しては、右向き15人、左向き12人、正面4人という内訳からみて、特段の偏りはないように見えたとも記されている。 次回に続く。 |