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ベランダで育てているパイナップル百合(ユーコミス)が開花した。写真右は7月2日、花芽が出た頃の写真。花芽が出る前のほうがパイナップルらしい。2020年には何鉢か育てていたが、置き場所が無くなってきたために1鉢を残して地植えした。 |
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【連載】千の顔をもつ英雄(5)「自分のこととして英雄の物語を考える」の是非 昨日に続いて、NHK-Eテレ『100分de名著』: ●名著141「千の顔をもつ英雄」ジョーゼフ・キャンベル のメモと感想。高齢世代でも「冒険」に旅立つことができるか?についても考察する。 放送第2回では、「自分のこととして英雄の物語を考える」ということがテーマの1つになっていた。指南役の佐宗邦威さんからは、予定を立てずにその場の偶然に出会うという旅に出るというご自身の事例が紹介され、さらに伊集院さんからは、ご自身の経歴に基づく「イジュウイン・クエスト」が披露された。リンク先にも記されているように、伊集院さんは、 1984年(昭和59年)7月、不登校を案じられて、叔父の知り合いである「吉河さん」の紹介で、圓楽一門の三遊亭楽太郎(のちの六代目・三遊亭円楽)に弟子入りし、三遊亭楽大を名乗った。卒業間近の3年次の2月に高校を中退している。現在のご活躍に至るまでにはさまざまな試練を経ており、それはそれで興味深いストーリーではあるのだが、これが英雄の物語かと言われるとどうかなあという気もした。確かに伊集院さんの過去のご苦労は私などには窺い知ることのできない大変なものであっただろうが、それはあくまで現実世界における進路選択の変遷のようなものであって、『モノミス=単一神話論<英雄の旅>』あるいはその詳細図に区分されているような「境界を越えて未知の世界へ」というほどの異次元世界への旅ではない。 自分自身の経歴を英雄の物語になぞらえて過去の失敗や努力に意味づけをすることは個人の勝手であって私がどうこう言うべきものではない。しかし、現実世界での選択にはたいがい大きな制約があり、RPGのように魔術を使うことはできないし、奇跡も起こらない。RPGの面白さはあくまで、現実ではありえないような壮大なクエストに挑み、現実には到底不可能な魔術を身につけて、目的を達成できるという点にあると思う。このWeb日記で何度も述べているように、現実世界を実数空間に喩えるならば、RPGの世界は虚数空間みたいなものであって、それらを混同してはならない。実数を複素数に拡張することが有用であるように、現実世界のほかに仮想の世界を旅することは「いま、ここ」を生きる人生をより豊かにできる可能性はあるが、仮想世界の成果を現実世界に還元することには限界があるように思う。 今回の指南役の佐宗邦威さんは「戦略デザイナー」という肩書きもお持ちで、じっさいに起業家向けの支援もしておられると拝察するが、私はあくまで、現実世界での進路選択は、起業をやり遂げた先人達の成功体験談、あるいは失敗した人たちのしくじり体験談から学ぶべきではないかと思う【←成功談も失敗談も、それぞれの人たちの思い込みのフィルターがかけられているため、成功談で語られたことが成功要因を網羅しているとは言いがたいし、しくじった人が挙げている理由が主な失敗要因になっているのか分からない点にも留意する必要がある】。いずれにせよ、起業を志す人は、英雄の物語に自分を重ね会わせて自信過剰にならないことが肝要かと思う。 いっぽう、事故や急病で病院に担ぎ込まれて生死の堺をさまようというような体験は、1つの冒険になるように思う。それまで自分がいずれ死ぬということを漠然にしか捉えられず「そうなった時に考えればいい」と思っていた人も、一度でもそういう体験をすれば、死生観がガラッと変わるはずだ。それが英雄の物語と言えるほどかっこいいものかどうかは別だが。 次回に続く。 |