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録画済のDVDを整理していたところ、2013年1月4日(金)に初回放送された、NHK-BSP『世界の名峰グレートサミッツ』、 ●世界最高のクライマー”シルクロードの王”を撮る 〜中央アジア ハン・テングリ〜 が見つかった。『世界最高のクライマー』というのは山岳カメラマンの平出和也さんのことであり、平出さんでなければできない斬新なカメラワークでハンテングリを紹介している貴重な映像が満載されていた。ふもとのカルカラ・キャンプ(2200m)では、偶然、南イニルチェク氷河のトレッキングから戻った日本人グループに遭遇し、そのガイドをつとめていた谷口けいさんが姿を見せていた。谷口けいさんは2015年12月22日に北海道・大雪山系の黒岳北壁で滑落しお亡くなりになっている。また周知のように、平出さんは今年の夏にK2西壁でパートナーの中島健郎さんと共に滑落しお亡くなりになっている。 今回のDVDについては2019年12月19日の日記でも言及しているが、その後、他のDVDと紛れて視る機会が無かった。 平出さんが登場する山岳番組はいろいろあるが、もし追悼のために1本を選ぶとしたら、映像の美しさという点からみてもこのハンテングリが最適ではないかと思う。 ※写真上はハンテングリ頂上に立つ平出和也さん。写真下は南イニルチェク氷河ベースキャンプから眺めるハンテングリ。 |
【連載】あしたが変わるトリセツショー『がん対策』(7)ナッジの応用(1) 昨日に続いて、10月17日(木)に初回放送された、 ●がん対策 についてのメモと感想。 昨日取り上げたように、がん検診の重要性を説いた講義を聴いた人たちは、その直後にはぜひとも検診を受けなければという感想をいだくようになる。しかし、その後しばらく先延ばししているうちにうやむやになり、必ずしも受診には繋がらない。じっさい、追跡調査を行ったところ、受講者20名のうち3名だけしか検診の予約をしていないことが判明した。 そこで次に提案されたのが『ナッジ(nudge)理論』の応用であった。ナッジ理論は、2017年にノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー博士らによって提唱されたもので、「強制するのではなく、人々がすすんで行動を変えたくなるよう小さなきっかけを与えるアプローチ」であるという。具体例としては、
このナッジ理論をがん検診の受診率の向上に役立てようとした論文が、溝田友里さん(静岡社会健康医学大学院大学・保険学)らによって発表された。 ●Mizota & Yamamoto (2021).Rainbow of KIBOU project: Effectiveness of invitation materials for improving cancer screening rate using social marketing and behavioral economics approaches. Social Science & Medicine, 279, 113961. ここでいったん私の感想・考察を述べさせていただくが、放送では『ナッジ理論』というように1つの「理論」として紹介されていたが、私が理解した限りでは、何かの対策の基礎となる理論ではなく政策手法であるように見受けられた。じっさい、環境省の第311回 消費者委員会本会議資料でも、以下のように定義されていた。
ということで、行動分析学の視点から言えば、ナッジを有効にするためには、「好子出現の随伴性による強化(正の強化)」が基本となる。なお、ここでいう「好子(コウシ)」は行動分析学の用語であり、経済学で使われている「インセンティブ」とほぼ同義と考えて差し支えない。 いずれにせよ、ナッジそのものは理論ではない。理論はあくまで強化・弱化の理論であり、種々の行動原理のうち好子出現の技法を重視するという姿勢と、その有効性を高めるための技法に焦点があてられることになるように思われた。 リンク先の資料では、 ナッジ(nudge:そっと後押しする)とはというようにも特徴づけられている。「好子出現の随伴性による強化(正の強化)」が基本ではあるが、
とも説明されている。 リンク先によれば、ナッジには良いナッジと、「スラッジ」と呼ばれる悪いナッジがあるという。セイラー(2018)によれば、
リンク先では、さらに、 ●『ナッジ』というと目新しいもののように捉えられがちであるが、私たちの身の回りにはもともとそのようなものがあふれており、が、実は行政で日常的に行われてきた広報・普及啓発はまさにナッジ(的なもの)であり、身構える必要は無い。【要約・改変】 とも指摘されており、
以上に引用はもっぱら日常生活場面の行動に関わるものであったが、学校教育にもとうぜん活用することができる。ザッと検索したところ、
次回に続く。 |