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半田山植物園で見かけたカリンの実。山の斜面に生えているため、落ちた実はごろごろ転がって山腹に排水溝に溜まる。 なお、撮影場所の実はすでに廃棄されている。以前、植物園とは別の場所で採れた実を販売したこともあったが、重くて持ち帰りにくい、食べ方が分からない、といったせいか売れ行きはサッパリであった |
【連載】あしたが変わるトリセツショー『がん対策』(16)ナッジの応用(9)厚労省公開資料からナッジを学ぶ(6)カーネマンらの研究はどこが凄いか/通販のCMの手法の功罪 昨日の続き。放送内容に関連した話題として、ネット上で公開されている、 ●溝田友里(2021).ナッジ理論等の行動科学を活用した健康づくりの手法についてー具体的事例を交えてー というパワーポイント・スライドをもとに、ナッジについて考察をしていく。 昨日までに引用させていただいたように、ナッジのフレームワークは頭文字の語呂合わせで『EAST』とか『MINDSPACE』と簡約スライド27頁によれば、『MINDSPACE』は、
ここで少々脱線するが、私がカーネマンらの論文、例えば: ●Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases. を拝読したのは学部4回生の頃(1975年頃)であり、来日していたFantino先生の特別講義のなかでカーネマンとトベルスキー(←確か、Fantio先生は「トゥヴァースキー」というように発音していた)の一連の研究が紹介されたのがきっかけであった【2012年12月7日の日記参照】。 それから50年が経過した今になって振り返ってみると、上掲のカーネマンらの論文はその後の研究の発展を促し一般社会にインパクトを与えたという点で、1970年代の心理学関係の論文の中でも最も影響力が大きかった論文の1つであったと評価できるように思う。1970年代には、他にも同程度に注目を浴びた研究はあったが、それらの多くは心理学の1つの領域の仲間うちだけで評価された「流行の波」のようなもので、その領域の外の世界に貢献することがないまま、10年も経てば忘れ去られてしまうことが多かった。 もとの話題に戻るが、スライド29頁以下では、受診勧奨にナッジを適用した事例がいくつか紹介されていた【要約・改変あり】。なお「→」以下は私のコメントを含む。
ここからは私の感想・考察を述べさせていただくが、通販のCMが大嫌いな私としては、それらと同じような手法を使うことには少々抵抗感がある。もともとテレビの通販のCMというのは、 ●本来はそれほど必要でない商品を言葉巧みに欺き、実際には割高な価格で売りつける という手法であって、限りなく詐欺に近いように思われるからである。 とはいえ、がん検診自体は結果としてご本人のためになるのだから、上掲のようなナッジの手法を利用して少しでも受診率を増やそうという取り組み自体は悪いことではないと思う(←目的が正しければ、それを達成する手段として、ある程度その人を騙すような働きかけが含まれていても許容される?)。但し、この手法だけで受診率を増やそうとしても限界があることは確かだ。この点については、スライドの終わりのほうで論じられている。 次回に続く。 |