じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 今年の節分と立春は、例年より1日速く、それぞれ2月2日と2月3日となっているが。
 立春が2月4日ではなくてなぜ2月3日なのかについては、2021年2月3日の日記で考察したことがあった。1985年から2020年までの立春はすべて2月4日であったが、2021年から2056年までは閏年の翌年の立春が必ず2月3日、それ以外の年は2月4日となる【閏年の2月29日が立春より後に挿入されるため】。こうした変化はグレゴリオ暦における400年単位の調整【西暦年が4の倍数であっても、400年のうち3回は閏年としない】によるもので、天体の運行が変わるためではない。当時の日記を再掲すると、
  • もし1年が365.25日ピッタリであるならば4年に一度の閏年挿入でズレは生じないが、じっさいの1年の長さは365.242189572日であり、そのズレを調整するためにグレゴリオ暦では、「2000年は閏年だが、1700年、1800年、1900年、あるいは、2100年、2200年、2300年は閏年ではない。」というように、400年ごとに3回ずつ、閏年を挿入しない年を設定している。
  • なので、西暦2000年を閏年としたことで、その翌年から2099年までのあいだでは、立春の日付は早いほう(2月3日)にずれていく。
  • 2100年〜2399年は逆に100年ごとに閏年が平年となるため、立春の日付は遅いほう(2月5日)にずれていく。
  • じっさい、こちらの表にあるように、2021年以降2100年までは立春が2月3日になる日が増えていき、2101年以降は立春が2月5日になる日が増えていることが分かる。
  • なお、グレゴリオ暦では約3221年かけて1日分のズレが生じるので、いま述べた循環はピッタリと繰り返されていくわけではない。

 なお、春分の日の日付も上記同様に閏年設定の影響で変動する。ウィキペディアの表に示されているように、2024年から2055年までは閏年の前年のみが3月21日、それ以外の年はすべて3月20日となる。私が子どもだった頃は春分の日は必ず3月21日だったので、春分の日が3月20日だと言われると今でも違和感がある【春分の日が3月20日となったのは1960年以降の閏年】。

 あと、恵方巻きの包装紙では今年の恵方は『西南西』とされているが、こちらに説明されているように、正確には255°の方位であって、西南西の方位247.5°よりは若干右方向(北方向)にズレる。

2025年02月3日(月)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「仕出し」と「出前」の違い/デリバリー、宅食

 昨日続いて、1月31日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. 人見知りするのはなぜ?
  2. なぜ下着もズボンもパンツという?
  3. 「仕出し」と「出前」なにが違う?
とい3つの話題のうち最後の3.について考察する。

 放送では「『仕出し』と『出前』の違いは予約をするかしないか」であると説明された。

 民俗学や文化史を研究しているお馴染みの斗鬼正一さん(江戸川大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 仕出し
    • 『仕出し』『出前』という言葉はいずれも江戸時代中期に誕生したが成り立ちが異なる。
    • 『仕出し』の「仕」は「作ること」、「出し」は「店の外に出す」、つまり「作って店の外に出す」という意味。
    • 仕出しは料亭・料理茶屋など高級店が武家・商人向けに作った会席料理などのようなもので、当時の絵を見ると、鯛や鮑のような高級料理が盛られていた。
    • 仕出しは大人数分だったため、事前に予約が必要。ということで、「仕出しは予約をするもの」となる。
    • 仕出しが全国に広まったきっかけの1つは参勤交代。当時、高級料理を食べることはステータスの1つだったので、参勤交代。で江戸を訪れた大名は料亭の料理を取り寄せて食べた。そのため、江戸にあった高級料亭の大半が仕出しを提供していた。
  2. 出前
    • 『出前』は蕎麦・寿司など比較的安いもの。
    • 『出前』の「出」は「店から食べ物が出ること」、「前」は「一人前・客前」という意味。少人数分ですぐに作ってもらえることから、出前は「予約なし」。
    • 出前が広まったきっかけの1つは吉原の遊女。遊女たちは外食が禁止されていたので、おのおの仕事の合間に出前をとって食事をしていた。それが庶民にも伝わって定着した。
  3. ということで、『仕出し』は「予約する」、『出前』は「予約しない」。
  4. 今では仕出しは、大人数が集まる冠婚葬祭や会社の会議などフォーマルな場で提供されることが多く、会席料理やお寿司のような日本食が一般的。注文する量が多いので配達日より前に予約をする必要がある。
  5. 出前は自宅や仕事現場など少人数の場で提供されることが多く、ジャンルは和洋中を問わない。注文する数が少ないため、注文を受けてすぐに調理するのが一般的で、予約は不要。
  6. 仕出しと出前にはもう1つ、営業時間外に配達してくれるかどうかという違いがある。仕出しはあらかじめ予約をすれば営業時間外でも届けてくれることが多いが、出前は基本的に営業時間内に配達。
  7. 出前というと今ではリュックに入れて運んでいる姿を想像するが、昭和30年代頃までの出前と言えば蕎麦や丼物が主流で、自転車に乗って担いでいた。40kg以上を担いでいる写真も残っている。
  8. 最近では家に食べ物を取り寄せることを『宅配』と呼ぶ場合がある。『宅配』と『出前』の違いは、容器が回収されるかどうかにある。出前では料理店の食器が使われ回収されるが、宅配では使い捨ての容器が入っているのが一般的で容器は回収されない。
  9. 日本に宅配が広まったきっかけは、映画の『E・T』。映画でピザを宅配するシーンをレンタルビデオ店の経営者が見て1987年に宅配ピザ店【映像からピザーラと分かる】を創業。宅配ピザは大当たりし、今ではピザ以外でも様々な料理を宅配する文化が広まった。

 ここからは私の感想・考察を述べさせていただくが、まず、上掲の解説には「定義上の区別」と「現状における違い」が含まれていた。「定義上の区別」は「予約が必要かどうか」、「現状における違い」としては「量が多いかどうか」、「和食か和洋中か」、「営業時間外でも配達してくれるかどうか」といった点にあるようだ。定義上の区別は不変だが、現状における違いは時代によって変化していくものであり、分けて考える必要がある。
 念のためCopilotに「仕出しと出前は定義上どのように区別されますか?」と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
仕出しと出前はどちらも食事の配達サービスですが、その違いは次の通りです:
  1. **仕出し**: 特定の場所やイベントのために、事前に注文を受けてから調理・準備される食事を指します。宴会や法事、会議などで利用されることが多く、料理は通常、弁当形式や大皿料理で提供されます。
  2. **出前**: レストランや飲食店で通常提供されているメニューを、自宅や職場などに配達するサービスです。寿司やラーメン、ピザなどが代表的で、注文を受けてから調理され、すぐに配達されることが一般的です。
つまり、仕出しは事前に計画された特定のイベント向けの食事であり、出前は一般的なメニューを配達するサービスという違いがあります。どちらも便利なサービスですが、用途やシチュエーションに応じて選ぶことが大切です。
ということで、放送内容と通り「事前の注文の有無」が定義上の区別に関わっていることが確認できた。

 ちなみに、私自身が『仕出し』の注文に関わったのは、岡大で学会の全国大会を開催した時、実行委員会スタッフと理事会のための弁当を注文したことで過去2回あった。また『仕出し』された食事を食べたのは主として入試の監督業務についたときであったが、長時間の緊張で胃が収縮しており、美味しいと感じたことは無かった。

 いっぽう出前のほうは、引っ越しとか親戚が集まった時など何らかのイベントと連携しており、そのぶん記憶に残りやすい。長崎から岡山に引っ越しした時に出前で注文したちゃんぽんの味は忘れられない。
 放送でも紹介されたように、私が子どもの頃は自転車で蕎麦や丼物を配達する光景がごく普通に見られた。その後バイクの荷台に揺れを少なくする装置をつけて出前をするようになったが、今ではどうしているのか分からない。ウィキペディアにはこれに関連して以下のような記述があった。
しかし片手に重量物を持っての運転は不安定であり、特に蕎麦を肩に担ぐスタイルは片方の視界が妨げられ、出前中の交通事故が多発した。そのため1950年代後期、蕎麦店主によって出前機(スプリングやエアクッションがついた専用の岡持ち台)が発明され、これを自転車やオートバイに取り付けて料理を運ぶことが一般化した。さらに1980年代には後部に大型荷台を取り付けられる3輪スクーター(ホンダ・ジャイロ)も市販化された。片手運転による無理な荷運びは法規面からも規制されており、こうした出前機や3輪スクーターを使うことが普通になっている。


 このほかウィキペディアでは類似の呼称が紹介されていた。但し、仕出しと出前の区別を含めて法規上の違いは存在しないという。
  • デリバリー
    店内に飲食スペースを設けない店や無店舗営業の業者による配送の場合はデリバリーと呼ばれることが多いが、厳密に区別ができるわけではない。
  • ケータリング
    ケータリングは、注文主が用意する台所、あるいは移動調理車などを使って、現場で調理をするものである。「出前」「仕出し」は、完成した料理を配達するという点で決定的に異なる。

 上記のほか、高齢者向けの『宅配食』のことを略して『宅食』と呼ぶことがあるようだ。『宅食』というと「自宅で食べる食」つまり自宅で自炊をしたりスーパーから買ってた惣菜を食べることを意味するように思ってしまうが、それらは『中食』とか『内食』という呼称で分類されているようだ。我が家でも夫婦いずれかが要介護になった場合などは宅食に頼る必要が出てくるかもしれない。というか今でもかなりの比率でスーパーの惣菜に頼っており、添加物とか原材料の安全性を考えると、適度の価格で安全性が保証された宅食サービスがあればそのほうが良さそうな気もしている。