じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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2月25日の夕日。太陽の上の雲が光を反射して串団子のように見えた。 |
【連載】チコちゃんに叱られる! どうしたら物事を長く続けられる?」 昨日に続いて、2月21日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
この質問は放送の終わりのところの『ひだまりの縁側で…』のコーナーで、ゆかさん 5さい(+6さい)からのおたよりとして紹介されたものであり、原文は以下のような内容であった。 ●私はすぐにあきてしまいます。思い立ったが吉日で行動力はあるのですが、1ヶ月ほど経つと「なんかあきたなー」と思い、やめてしまいます。どうしたら物事を長く続けることができますか? これに対するチコちゃんや岡村さんの回答は以下のようなものであった【要約・改変あり】。
以上のやりとりも大いに参考になるとは思うが、いろんなことに手を出したもののいずれも中断し何1つ長続きしないという恐れもあるように思う。 ということで、隠居人として私の経験を述べさせていただくが、私はいろいろな行動が長続きできているほうではないかと思う。具体的には、
行動分析学の知見から言えば、長続きしている行動というのは必ず何かによって強化されているはずだ。もっともそれらが長期間に及ぶと、日常生活の中で完全に習慣化してしまい、何によって強化されているのか言語化できない場合もあるし、いくつかの結果あるいは成果が複合的に絡み合って強化をしているという場合もあるようだ。 上掲のWeb日記執筆の場合、
というようにWeb日記執筆は、習慣化、短期的な結果、中長期的な結果によって複合的に強化されているように思う。 上掲のウォーキングは、植物園を訪れていることもあり、毎回、開花や紅葉といった新しい発見がある。中長期的には健康保持という大きな結果が伴っているはずだが、これは「ウォーキングは健康増進によい」というルール支配行動的な強化かもしれない。 そのほか、
もっとも私の場合、行動が長続きしている背景には、「新しいことにはなかなか手を出さない」、「興味の持てない世界には一切関わらない」、といった保守的で頑固な側面もあるとは思っている。例えば、富裕高齢者に人気のあるゴルフは一度もやったことがないし、地域の高齢者の人たちのサークルにも全く興味がない【他者と関わること自体が煩わしい】。今やっていないことに目移りしないぶん、少数種類の行動が長期間続いているとも言える。 それでも私の場合、現職時の研究領域とは全く異なる世界(例えば宇宙、数学、地理、歴史、健康、言語など)にもそれなりに関心が広がっている。私とは異なり、生涯にわたり専門分野だけに没頭している人もおられるとは思う。いずれにせよ、関心領域を広げようとすれば必然的に「広く浅く」ならざるをえず、あまりにも広げると、当初興味のあった世界から遠ざかることで結果的に長続きしないということはあり得るだろう。 この日記にも何度か書いているが、行動分析学の知見から言えば、行動が長続きしないのは、根性が無いからでも自覚が足りないからでもなく、ただ1つ、その行動が適切に強化されていないためであると考えられる。「適切に強化されていない」というのは、その行動の直後に適切な好子が随伴していないということ。例えば毎日30分英会話の勉強をしたからといって、たまたまその日にであった外国人と円滑な会話ができるようになるわけではない。英会話力は、中長期的、例えば半年も経てばかなりアップしているだろうが、「毎日30分の勉強」をするたびに「英会話力向上」という結果が随伴しているわけではない。そういう場合は、「毎日30分の勉強」に対して別の好子を付加する必要がある。勉強するたびにカレンダーにシールを貼る、といった形で可視化したり、そのカレンダーを家族の目につく場所に掲げれば、それなりの強化が期待できる。シールが10個たまったら自分にご褒美を与えるというセルフ強化もあるが、そこまでしなくてもシールだけで長続きする可能性がある。 いずれにせよ、何かを長続きさせようと思った時には、
なお上にも述べたが、関心領域が広がれば広がるほど興味を失う領域もまた増えていく。日々の生活は物理的な時間により限られているので、1つや2つの行動に専念すれば長続きするいっぽう、10や20もの領域に手を出せば当然優先順位がつけられ、順位の低い行動は続けられなくなってしまう。ま、自分の可能性を知るために当初はいろいろな世界に手を出し、少しずつその種類を減らして自分に合ったライフスタイルを構築していけばそれでよい。その意味では、過渡的に「長続きしない」行動がいっぱいあっても気にする必要は無いが、逆に何1つ興味が持てないというのであればそれも困る。どんな世界でもその魅力は奥深いところにあり、それを極める前に入口付近で撤退してしまうことがあれば残念なことだ。 |