じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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【インドネシアその45】バトゥール山外輪山でキンタマーニのコーヒーを味わう
 ジープツアーのあと、バトゥール山の外輪山の一角にあるレストランで昼食となった。バトゥール山&カルデラ湖は午前中にはよく見えていたが【写真上】、レストラン到着時は霞んでしまいじきに雲に隠れてしまった【下の写真の右下のあたりにうっすら写っている】。
 このあたりのコーヒーは近くで収穫された上等なコーヒー(キンタマーニコーヒー)とのことであったが、私には違いが分からなかった。なお「キンタマーニ」という地名についてはウィキペディアに以下のような解説があった。
如意宝珠の梵名であるチンターマニ(cintaamaNi)を祖語とするが、日本語で男性器である金玉(睾丸)に通じることから、エロマンガ島やスケベニンゲンと同様に、珍地名として取り上げられることがある。

2025年09月1日(月)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「ひょっとこの由来」/「ひょっとこの左右の向き」

 8月29日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日の話題は以下の通り。
  1. ひょっとこってなに?
  2. 日本が台風を番号で呼ぶのはなぜ?
  3. なぜ新橋の「ん」は「m」?
という3つの話題が取り上げられた。本日はそのうちの1.について考察する。

 さて1.の『ひょっとこ』の由来であるが、そう言えば、「おたふくとおかめの違い」については2024年1月3日の日記で取り上げられていたいっぽう、『ひょっとこ』は今回が初めてであった。民俗学や文化史を研究しているお馴染みの斗鬼正一さん(江戸川大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. ひょっとこはもともと『火男』。「ひおとこ」が訛って「ひぃおっとこ」、「ひょっとこ」になった。
  2. 人類は50万年以上前から火を使用していた。
  3. 古墳時代にはすでにかまど、囲炉裏が存在しており、料理や寒さ対策に不可欠だった。
  4. そんな火を守るのは家長であり、「火の継続は家族の継続」とまで言われた。
  5. そんな大事な火の管理を任された人のことはしだいに「火男」と呼ばれるようになった。これが『ひょっとこ』のルーツ。
  6. ひょっとこが口をすぼめているのは火を吹いているから。
  7. ひょっとこの顔が歪んでいるのは火の粉が目に入らないようにするため。
  8. 火男は神様として扱われていた。そのきっかけは鉄の加工にあった。弥生時代、渡来人の影響で鉄製の農具や斤などが日本に伝わった。
  9. すると、家の火を上手に扱う火男たちの一部が鉄加工を始め鍛冶職人として活躍するようになった。
  10. 鉄製品で生活は著しく向上し、鍛冶屋は「すごい才能の持ち主」として評価されるようになり、一般人とは別の世界の人間として神格化されるようになった。
  11. 平安時代になると日本の鍛冶屋たちの技術は独自の進化を遂げ、日本刀を生み出した。直刀と異なり日本刀は自然な弧を描く形状になっており、少ない力で深く切り込むことが可能になった。日本刀の登場でいくさは様変わりし時代を変えた。
  12. 火男たちは時代を変える存在になったことで、崇められるいっぽう恐れられるようになった。人の命を奪う凶器を作ることでどこか恐ろしい人たちというイメージで捉えられるようになった。
  13. 平安時代から江戸時代に流行した怪談の定番『一つ目小僧』は鍛冶屋」が仕事中に誤って目を潰したことが原因で生まれたと言われている。
  14. ひょっとこがコミカルなイメージになったのは神楽。『大島岡里神代神楽』の中で火男は 「かまどの神様」として登場している【こちらに関連ポストあり】。恐ろしいイメージのある鍛冶屋をコミカルな動きでイジっていたと考えられる。今でも上司のモノマネをすると盛り上がるのと同じ心情。
  15. 江戸時代は火事が多く火伏せの祭りが多かった。1657年の明暦の大火を契機に民衆の防火意識が高まるなか、火伏せのお祭りでひょっとこのお面をかぶるようになった。
  16. 現在は「火の神様」としての意味合いは薄れていき、コミカルな動きで場を盛り上げる風習が残っている。

 ここまでのところでいったん私の感想・考察を述べるが、ひょっとこが火男に由来していることはよく分かった。しかし、「火男の由来」と、「火男がひょっとこになった由来」は分けて考えるべきだろう。
 「人類は50万年以上前から火を使用していた」とか「古墳時代にはすでにかまど、囲炉裏が存在していた」というのは人類でほぼ共通しており、日本独自のひょっとことは別。もしそれが火男やひょっとこの起源だとするなら世界中でひょっとこが生まれていたはずだ。

 なおウィキペディアでは、「現代まで見られるひょっとこの面の祖型が出来あがりはじめたのは室町時代であると見られており、江戸時代に里神楽・町神楽などを通じて一般的になっていったとされる。」という説が紹介されていた。

 放送ではさらに、ひょっとのいろいろなパターンが紹介された。『おかめ』は実在した人物なのでどのお面もだいたい同じ顔をしているが、ひょっとこのほうは特定の人物ではなく職業を表しているので顔にもいろいろなパターンがある。特に口の曲がり方には、左向き、右向き、正面、口の部分無しといったパターンがありそれぞれ紹介された。

 ということでChatGPTにひょっとこの向きについて調べてもらた。なおこの場合の向きというのは、「観客から向かって」という意味。

代表的な神楽に出てくる「ひょっとこ」面の口向きを整理してみます。
◆## 神楽におけるひょっとこのお面の向き一覧
  1. **石見神楽(島根・広島)**
    • 口の向き:**横向き(左右いずれもある)**
    • 特徴:石見神楽の「ひょっとこ」は、滑稽役として登場し、観客を笑わせる役割。火吹き男のイメージが残っているため、横に尖らせた口が多い。
  2. **備中神楽(岡山)**
    • 口の向き:**横向き(やや左が多いとされる)**
    • 特徴:舞の合間に出てきて観客と掛け合いをすることもあり、動きが大きい。面の口が横向きで竹筒をくわえられるような形をとる。
  3. **岩戸神楽(宮崎・高千穂)**
    • 口の向き:**横向き(右向きが多い)**
    • 特徴:天岩戸の場面で「ひょっとこ」的な面をつけた滑稽役が登場。火や料理と関係する役柄のため、横に突き出た口。
  4. **出雲神楽(島根)**
    • 口の向き:**横向き**
    • 特徴:こちらも火を吹く「火男(ひょっとこ)」として登場する伝承がある。正面口はほとんど見られない。
  5. **九州各地の神楽(大分・熊本など)**
    • 口の向き:**横向き**
    • 特徴:滑稽役・道化役として登場。正面口は舞踊系(例:日田のひょっとこ踊りなど)に多く、神楽では横口が主流。
  6. ## まとめ
    • 神楽で使われる「ひょっとこ」のお面は、**ほぼ例外なく横向き**。
    • 「左向きか右向きか」は地域差があり、石見神楽や出雲神楽では両方見られ、岩戸神楽では右向きが多いなどの傾向がある。
    • **正面口のひょっとこ**は、神楽よりも「ひょっとこ踊り」などの民俗舞踊に多い。


 次回に続く。