じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



03月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

クリックで全体表示。



 子どもの頃、テレビドラマ『怪傑ゾロ』を毎回楽しみに視ていた。リンク先によると、このドラマはアメリカのABCで1957年10月10日から1959年7月2日まで放送。日本では1961年7月9日から1966年6月18日まで日本テレビで放送されたいたというが、その後も何度か再放送されていたように思う。

 このドラマの日本語主題歌のメロディは今でも100%正確に覚えているが、歌詞のほうには一部聞き取りにくい部分があった。といっても正しい歌詞を確かめる機会もなく、意味不明の日本語としてそのまま放置してきた。
 昨日たまたまYouTubeで日本語主題歌を「発掘」した動画が配信されていることに気づきさっそく再生させていただいたところ、
  • 【聞き間違い】光ーる、クマデとソノオークにツキになれと、怪傑ゼロ
    【正しくは】→光るそのマークは、ゼット、不気味なゼット、怪傑ゼロ
  • 【聞き間違い】ゾロ、ゾロ、ヒュヒューっと咳をする
    【正しくは】→ゾロ、ゾロ、ピュピュッと敵を斬る
  • 【聞き間違い】ゾロ、ゾロ、ヒュヒュッとサイワデソー
    【正しくは】ゾロ、ゾロ、ピュピュッとサインはゼット
であることを知った。中でも「サイワデソー」という謎の呪文の正体が「サインはゼット」であるというのは全く意外であった。人生70+α年、やっと謎が解決できてよかったよかった。

※左の写真は1963年12月頃(小学5年生)、自宅の庭でゾロの真似をしているところ、剣の部分は太い針金、ガードの部分はブリキで作っていた。この時代、少なくとも私にとっては日本の時代劇のチャンバラより、ゾロの剣さばきのほうが魅力的であった。

2025年03月17日(月)





【連載】チコちゃんに叱られる! 日本独自の漫画表現

 昨日に続いて、3月14日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。 本日は、
  1. 寝ているといえば「鼻ちょうちん」なのはなぜ?
  2. 水を買うようになったのはなぜ?
  3. 流行色ってなに?
という3つの話題のうち、1.について補足させていただく。

 放送では漫画に描かれている「鼻ちょうちん」は日本独自のものであり、外国人には何が描かれているのか理解できないのではないか、と指摘されていた。じっさい、日本で修業した外国人漫画家2名から、「鼻ちょうちんは日本の漫画にしかない」とコメントされていた。
 放送ではさらに、外国人には理解できない表現として、
  1. 急なデフォルメ
    普段は格好よく描かれていたキャラクターが、何かのきっかけで急に子どものような格好に「変身」。海外の漫画では登場人物のスタイルは最初から最後まで同じ。
  2. セクシーなシーンなど、ドキドキする状況などでケガをしていないのに鼻血を出すシーン
 このうち1.については田中圭一さん(京都精華大学)から以下のような解説があった【要約・改変あり】。
  • キャラクターのデフォルメは1976年に連載が始まった『青い空を,白い雲がかけてった』(あすなひろし)が取り入れた手法。真面目なシーンと砕けたシーンが入れ替わるところをキャラクターのデフォルメで表現。
  • 1981年連載開始の『軽井沢シンドローム』(たがみよしひさ)でキャラクターのデフォルメが一般的に広まった。

 また2.については同じく田中圭一さんから、1970年代に活躍したギャグ漫画家、谷岡ヤスジの漫画がきっかけであると解説された。




 1970年代と言えば私にとってはちょうど学部・大学院生時代(1971〜1980)であり、研究室で漫画雑誌を回し読みしていたため、私にとっては最もたくさんの漫画を読んでいた時期であった。
 田中圭一さんの解説ではキャラクターのデフォルメは1976年の連載が最初であるということだったが、1974年〜1980年に連載された『がきデカ』にも随分とデフォルメがあったような記憶がある。もっともあれはここでいうデフォルメとは違う技法なのかもしれない。
 余談だが、がきデカに出てくる『モモちゃん』、『ジュンちゃん』は、当時の人気タレントの山口百恵と桜田淳子がモデルだとずっと思い込んでいたが、リンク先によれば『ジュンちゃん』は桜田淳子ではなくて風吹ジュンがモデルであったということを初めて知った。

 2.の鼻血シーンが谷岡ヤスジの漫画であったというのは確かに納得できる。谷岡ヤスジについては2003年6月8日の日記でも取り上げたことがある。鼻血シーンばかりでなく、最も個性豊かに牛を描いた作家であったと記憶している。

 以上、日本独自の漫画描写として「鼻ちょうちん」、「キャラクターの急なデフォルメ」、「谷岡ヤスジ由来の鼻血シーン」の3点が挙げられていたが、他にも日本独自で外国人に分かりにくい描写は無いだろうか。私が思いつくのは、
  1. 瞳に星を入れる:高橋真琴が最初だと言われている。2020年7月11日の日記参照。
  2. 風の動きを線で描く:但し西洋絵画にもあるかも。


 ということで、Copilotに尋ねてみたところ、以下のような回答をいただいた。

 まず、「鼻ちょうちん」、「キャラクターの急なデフォルメ」、「谷岡ヤスジ由来の鼻血シーン」の3点以外に外国人に分かりにくい描写があるかどうか尋ねてみた。
確かに、日本の漫画には独特の表現や記号的な描写が多く、それが外国人にとって少し難解に感じられる場合があります。他にも、以下のような描写がよく挙げられます:

怒りの際の「十字マーク」: キャラクターの額やこめかみに「×」または十字のマークが現れる表現は、日本の漫画特有です。これは怒りで血管が浮き出た様子をデフォルメしたものですが、海外の読者にはその背景がピンとこないこともあります。

「汗マーク」や「動揺線」: 緊張や焦り、戸惑いを表すためにキャラクターの顔や頭に大きな汗マークを描くことがあります。また、驚きや動揺を表すために顔や目の周りに線が多用されることもあります。これらは日本独自の視覚的記号ですね。

「鼻水」や「よだれ」: キャラクターが深く眠っていたり、酔っぱらっていたりする時に描かれる表現です。海外ではこれを不潔だと思う文化もあるため、理解されにくい場合も。

感情の動きに応じた「背景の変化」: 怒りや喜び、緊張などの感情が爆発する瞬間に背景が急に幾何学模様や効果線、真っ白(または真っ黒)になるのも特徴的です。物語の一部ではなく、キャラクターの心理状態を反映しているという視覚的手法が、特に初めて見る海外読者には戸惑いを与えることがあります。

キャラクターの性別や年齢に対する極端なデフォルメ: 例として、女の子キャラクターが喜ぶときに「猫耳」や「尾」が一瞬現れるなど、人間離れした仕草や演出があります。こうした表現には、文化的背景や象徴性を理解して初めて楽しめるものも多いです。

これらの描写は、漫画独自の表現力や物語の面白さを引き立てています。海外の読者が慣れてくると、それがまた「らしさ」として楽しめるポイントになりますね


 次に「瞳に星を入れる表現も日本独自でしょうか。」と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
はい、瞳に星を描く表現も日本の漫画やアニメ文化に特有のものとされています。この表現は、キャラクターの目がキラキラと輝いている様子を描写するために使われます。感動、興奮、愛情、純粋な喜びなどの強い感情を表現するための視覚的な手法で、特にロマンチックやファンタジー系の作品で多用されています。

海外の作品でもキャラクターの感情を目で表現する手法は見られますが、日本の漫画やアニメのように極端にデフォルメされた「星」や「ハイライト」の多様な使い方は少ないかもしれません。この特有の描写は、日本の視覚表現のクリエイティビティを象徴する一例ですね。

こういった細かい技法が、キャラクターに独自の魅力を与え、日本の作品をユニークで世界的に愛されるものにしているのかもしれません!他にもこのようなユニークな表現に興味がありますか?


 最後に風の動きの描写については以下のような回答をいただいた。
風の動きやスピード感を線で表現する手法は、日本独自だけでなく、世界的にも使用されている技法です。ただし、そのスタイルや用途には文化的な違いがあります。
  • **日本の漫画やアニメ**では、風の動きを表す「スピードライン」や「流れるような曲線」は非常に特徴的で、感情の高まりやシーンの動的な緊張感を視覚的に強調することによく使われます。この描写は非常に直感的で、風が強く吹いている様子やキャラクターが風を切るような動きを視覚的に一目で伝えることができます。
  • **西洋のコミックやアニメーション**でもスピード感や風の動きを描写する線の技法は存在しますが、日本のような繊細で細やかな線の使い方はやや控えめです。例えば、アメリカのスーパーヒーローコミックでは、速さや風を表すために大胆な直線や強調された影を使用することが多いです。また、アニメーションではキャラクターの実際の動きや背景の動きで風を表現することが主流となっています。
文化的なスタイルの違いから、それぞれの表現方法がユニークで個性的ですが、日本の漫画やアニメの風描写は、細かい効果線や情緒的な要素を取り入れている点で、ややアート的で詩的と言えるかもしれません。
こういった技法の違いは、漫画やアニメの楽しみ方の一つでもありますね!他にも気になるアート技法があれば教えてくださいね。


 次回に続く。