じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 昨日の日記で津山線の枕木交換の話題を取り上げた。そんななか、コンクリート製に混じって木製の枕木が一定の距離間隔で1本ずつ置かれていることに気がついた。
 すでに取替工事が終わっている区間で観察したところ、どうやら何らかの理由で交換後にも木製が使われている場所のあることが分かった。ネットで検索したところ、知恵袋に関連する回答があり、
コンクリート枕木は、型枠にコンクリートを流しこむことで制作できるのですが、その段階でレールの取り付け位置が決定されてしまうため、ポイントなど取り付け位置が1本ずつ違うようなところですと1つずつ型枠を作る必要があり、場合によってはオンリーワンの型枠を作る必要があるなど製作コストが高く付くのです。
これに対して、木枕木は現場で取付金具の取り付け位置が決められるためコスト的にも安上がりというのが最大の理由です。
また、コンクリート枕木よりも木枕木は軽量ですので構造的に軽量化が必要な橋梁部分では、現在でも木枕木が多用されます。
近年は、木枕木に使用されていた防腐剤の環境問題と寿命の問題もありまして、木枕木同様の使いやすさと軽量であり、コンクリート枕木並みの長寿命である合成枕木に移行しています。
というように説明されていた。

 写真をよく見ると、どうやらレールのつなぎ目は交換後も木製が使われているらしいことが分かった。木製の枕木が一定の距離間隔で1本ずつ置かれていたのは、レールのつなぎ目の間隔に対応しているためかもしれない。

 この発見は素晴らしい「じぶん更新」になった。

2025年03月30日(日)




【連載】チコちゃんに叱られる! デパート1階の化粧品売り場/セルフリッジの名言

 3月28日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、『放送100年!春の72分拡大版スペシャル』と称して以下の話題が取り上げられた。
  1. デパートの1階に化粧品売り場があるのはなぜ?
  2. その日の気分で食べたいものが変わるのはなぜ?
  3. NHK放送100年記念特別企画 歴代クイズ番組の問題に答えてみてクイズ!
  4. 大河ドラマはなぜ大きな河?
  5. 【こんなんのコーナー】くるくる回ると体が柔らかくなっちゃう現象
  6. バカが「馬」と「鹿」なのはなぜ?
という6つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 1.のデパートの1階に化粧品売り場がある理由は、放送では「馬のフンが臭かった!消臭効果からの噴水効果」が正解であると説明された。化粧品業界のマーケティングに詳しい廣瀬知砂子さん&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。なお以下の引用で『セルフリッジ』は人の名前、『セルフリッジズ』はセルフリッジが造ったデパートの名称として区別される。
  1. デパート1階の化粧品売り場は日本だけでなく欧米のデパートでも採用されている。
  2. デパートの文化は産業革命を経てイギリスを中心にヨーロッパに広がったと言われており、日本のデパートもそれら老舗デパートの影響を受けた。
  3. デパートが誕生し始めたイギリスでは化粧品売り場を1階に置くのはあり得ないことだった。
  4. デパート1階に化粧品売り場を置いたのは老舗高級デパート『セルフリッジズ』が影響していると言われている。
  5. セルフリッジズを造ったハリー・ゴードン・セルフリッジはマーシャル・フィールドというデパートで長年働いていて、そこで培った経験を活かしてイギリスでみずからデパートを手がけた。当時イギリスのデパートは上流階級向けだったが、アメリカのデパートは大量販売志向で大衆的だった。セルフリッジは従来のイギリスのデパートは時代遅れだと考えアメリカ式のデパートをイギリスにつくれば成功すると考えた。
  6. セルフリッジは、デパートの壁にきらびやかなショーウインドーを造ったり、店内に飛行機を展示したりして、デパートは買物するだけの場所ではなく、目的がなければ行かなかったイギリススタイルのデパートを誰でも足を踏み入れられるデパートに変えた。
  7. しかし当時のセルフリッジズはオックスフォードストリートに面しており、デパートの前では馬車が行き来していて馬のフン臭いがあった。
  8. そこでセルフリッジは、デパートの前に漂う不快な匂いから香水の香りに包まれるという理由で化粧品売り場を1階に置こうと考えた。
  9. しかし当時のイギリスでは人前で化粧品を買うのは好ましくないされ、イギリスのデパートの化粧品売り場は目立たない場所に配置されていた。この反発を押し切ってセルフリッジはデパート1階に化粧品売り場を設置。女性の社会進出が急速に進み、女性は化粧品を堂々と買ったりメイクを楽しむようになり、1階に化粧品売り場を置くというセルフリッジの方針は時代のニーズにマッチしていった。
  10. 日本でも1階に化粧品売り場を置くという方針が取り入れられ、結果的に現在も『噴水効果』として意味のある売り場になっている。なお『噴水効果』とは、入口に興味のある売り場を置くことで、上階に客を誘導する効果。
  11. 化粧品はとてもコンパクトで、多くのブランドが一堂に介してゴージャスできらびやかな演出ができる。香りや試供品でみずから商品を体験することのできる化粧品売り場は1階で特別な空間を作り出すのにピッタリ。
  12. セルフリッジがその後の時代の流れまで考えていたかどうかは分からないが、イギリスの常識まで変えてしまったセルフリッジのマーケッティング力はお見事!


 セルフリッジは『ボス』ではなく『リーダー』として成功した人として知られており、以下のような名言を残していると補足された。
  1. ボスは恐怖を吹き込む。リーダーは熱意を吹き込む。
  2. ボスはやり方を知っている。リーダーはやり方を教える。
  3. ボスは「やれ」という。リーダーは「やろう」という。
なお、英語版によれば、上掲を含み、セルフリッジの主な名言は以下の通り。
  • "The customer is always right."
  • "People will sit up and take notice of you if you will sit up and take notice of what makes them sit up and take notice."
  • "The boss drives his men; the leader coaches them."
  • "The boss depends upon authority, the leader on goodwill."
  • 【上掲1.】"The boss inspires fear; the leader inspires enthusiasm."
  • "The boss says 'I'; the leader, 'we'."
  • "The boss fixes the blame for the breakdown; the leader fixes the breakdown."
  • 【上掲2.】"The boss knows how it is done; the leader shows how."
  • 【上掲3.】"The boss says 'Go'; the leader says 'Let's go!'"




 ここからは私の感想・考察を述べさせていただくが、デパートについては1月17日初回放送の回で、

なぜデパ地下は地下にある?

という疑問が取り上げられたばかりであった。この時は、

デパートが土足禁止だったから

が正解であると説明された。リンク先を要約すると、
デパートが登場した当初、日本では呉服店時代からの習慣で床には畳が敷かれており、建物内は土足禁止だった。そのため、デパートの入口には下足番という客の履き物を預かる係が常駐。預かった履き物は地下の下足置き場で保管していた。しかし混雑緩和のため土足入場を解禁。必要がなくなった下足置き場は、食品・台所用品の売り場として活用されるようになった。
当初、食品売り場はデパートの脇役であったが、地下鉄の開業により地下入口からの出入りが増え、また通勤帰りの女性が「お金がかかってもいいからすでに調理された食品」を買うようになり、デパート側も食品フロアを拡大。
 さらに、食品売場に集めた客を、上層階へ誘う狙いがある。これを「噴水効果」と呼ぶ。
ということになる。このデパ地下の解説によれば、日本のデパートはもともと呉服店由来であり、イギリスのデパートの配置をそっくり取り入れたものではなく、じっさい地下は下足置き場になっていた。但し、当初から、「建物の中心である1階〜3階に、化粧品、靴、カバン、呉服、アクセサリー」、「4〜5階に家具、文房具、玩具」、「眺めの良い最上階に食堂」、「展望台や動物園は屋上」といった配置になっていたということで、これがイギリスの形式を真似たものなのか、それとも独自に噴水効果を狙ったものなのかは判断できない。とはいえ、現在では、そもそも馬のフンは無いし、デパートへの出入りは、地下鉄や地下駐車場などの地階からエレベーターで直接目的階へ移動したり、隣接する立体駐車場の高層階から直接移動する場合もあり、従来の噴水効果がそのまま当てはまるわけではなさそうだ。

 なおウィキペディアでは、デパートのフロア構成について1階については以下のような標準的な構成を挙げている。
1階(2階であることもある)は店の顔に正面玄関部分であり、天然石張りを用いるなど他のフロアと異なる内装により豪華さをアピールしていることも多い。主に有名ブランドの靴、鞄、帽子、装身具などの婦人向け服飾品、化粧品、香水などの売り場がある。化粧品、香水を1階に配置するのは、強制換気設備の普及していなかった昭和期において、臭気がこもるのを防ぐため出入口近くに匂いのある商品を置いた事情もあるが、平成期の換気設備の整った建物では他階に配置することもあった。

 いずれにせよ、1月18日に述べたように、物事の始まりの経緯と、現在なぜそのように行われているのかという原因は区別して考える必要がある。デパ地下に関して、
放送では、「下足置き場がたまたま空いたことで食品売場が誕生した」と説明されていたが、これは、物事の始まりの説明、つまり、

●デパ地下の食品売場はどのような経緯で設置されたのか?

の説明としては妥当だが、

●今の時代、なぜ、デパートの地下に食品売り場があるのか?

を説明するものではない。このWeb日記でも再三指摘しているように、今の時代の現象はあくまで今の時代の環境要因によって説明されなければならない。文化の理解という点では起源・由来は重要だが、起源が何であったとしても、今の時代にその意義が失われてしまえば、もはや今の時代には存続しにくくなるからである【もちろん、過去の「名残」としてわずかに残ることもあるが】。
と指摘した点は、そっくり1階の化粧品売り場の説明にも当てはまる。率直に言って、馬のフンによる説明は視聴者に意外性を感じさせるための付け足しであって、今の時代に化粧品売り場が1階にあることの理由は別のところにあるように思う。

 次回に続く。