じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] センター試験一日目の南北通り。まるで大学祭なみだ。もっとも試験会場の建物付近にはこのような掲示物は一切ない。念のため。





1月19日(土)

【ちょっと思ったこと】

大学教員は健康第一

 このところ校務で体を酷使している。最近、年をとってきてやっと分かってきたのだが、大学の教員でいちばん求められるのは、何はともあれ、健康であろうと思う。授業や長時間の会議や休日返上のお仕事をぬかりなくこなすためには、人一倍の体力と、ちょっとぐらいのバイ菌をやっつけるだけの免疫力、すぐに回復するだけの自己治癒力がぜひとも必要。
【思ったこと】
_20119(土)[一般]センター試験にツッコミを入れる(1)

 恒例のセンター試験問題ネタ。殆どの試験問題は1/20の朝刊に掲載されている。ネットでご覧になりたい方は、河合塾が便利(但し、すべてgifファイル)。
  • 英語
    • このところ心理学実験をネタにした問題がしばしば出題されており、今年もまたツッコミを入れようと手ぐすねを引いていたのだが、残念ながら今回は、毎食時に摂取するカロリーのバランスについての資料読みの問題であった【第4問】。世界中からの5都市の小学校を選び、計2500人を対象として一週間にわたってどういう食べ方をしたのかが調査された。間食ばかり食べる地域とか、朝食を殆どとらない地域とか、ずいぶんといろんな違いがあるもんだと思った。
      その地域の食文化や労働形態によって子どもたちの食事パターンが影響を受けることは間違いないが、例えば、日本人の子どもたちの食事をみてもわかるように、全員がそんなに均一ではあるまい。平均値パターンではなく、あくまで、個人本位で食生活スタイルを分析する必要があるのではなかろうか。
    • 若干気になったのは、第5問の手話(ここでは指文字)に関する話題で、「deaf」という言葉が2度も使われていることだ。私は別に差別語の言葉狩りの推進論者ではないけれども、「deaf」ではなく「hearing-impaired(聴覚障害の)」と言わなくてよいのかなあ。日常会話ならいいのだろうか。
      +問題文そのものは分かりやすく、私もたちまち、母音や「P」、「D」の表し方を覚えてしまった。
    • 少し戻って、第2問の問9:
      Fortunately, bus services are now back to 【   】 after yesterday's strike.
      に、common、ordinary、normal、regularのどれを入れるかという問題があった。正解は「normal」であり、辞書にも「Things are back to normal. 事態は正常に戻っています」なんていう例文があるけれども、regularと言っても文脈が分かっていれば通じるのではないだろうか。ならば、日本人が話す時には使っても構わないように思う。
      それともregularを使うと、「定期便」と「臨時増発便」を区別する意味になってしまうのだろうか。英語の詳しい方、情報をいただければ幸いです。
  • 数学
    • いつも思うのだが、選択問題で出題されるBASICの問題って、あまりにも簡単すぎやしないかなあ。たとえば第5問とか.....。BASICを学ぶことがアルゴリズムの理解に役立つというならば、なぜコンピュータ言語としてのBASICは廃れてしまったのだろう。 それと、いまどき学校のパソコン実習ではどうやってBASICを教えているのだろうか。20年ぐらい前だったら、PC9801を買えばROMーBASICとN88-DiscBASICが無料で添付されていたものだが、Windows版でのBASICソフトというのはあまり見かけない。ちなみに、BASIC世代の私自身は、電脳組の「BASIC/98 Ver.4」をずっと愛用しているが。
      1/20追記]そう思ったら、電脳組さん、BASIC/98はセンター試験のBASICを使った問題を実習するのにも最適です。って、ちゃんと宣伝しているのね。
  • 地理歴史
    • すっかり忘れていて、殆ど解けなかった。合計点はせいぜい10点か20点どまりだろう。解けないから負け惜しみを言うわけでもないが、すぐに忘れてしまうようなコマゴマとした事項を覚えさせるのは全くのムダだと思う。5教科7科目入試が叫ばれているが、理系基礎科目はともかく、地理や歴史でこういう知識項目を詰め込ませることが柔軟かつ創造的な思考力を磨く上でどれだけ弊害になっているか、グローバルな視点から再検討する必要があるのではないかと思う。
      いや、決して、地理や歴史を不要だと言っているのではない。資料(史料)をみてクリティカルな分析をする力を磨くことは大切だと思うけれども、そのために、世界のあらゆる地域、あるいは石器時代以降のあらゆる時代のことを網羅的に知る必要は全くない。いくつかの典型事例や特殊事例を挙げて、ちゃんと考える力を磨けばよいのではないか。
    • 地理に関しては、旅行したことのある国だったらかなり分かるぞ。たとえば、オーストラリアに関する問題はかなり解けた(昨年6月25日の日記の知識が役に立った)。ああいうものは、必要に応じて勉強すればよい。受験の時に詰め込んだことなどすぐ忘れてしまう。
    • 若干気になったのは、北欧のある地点の昼と夜の長さのパターンを選ぶ問題。問題文では「太陽が地平線より上にある「昼」と太陽が地平線より下にある「夜」」と記されているが、これでは、太陽全体が上にあるのか、太陽の一部が上にあるのかが判読できない。ちなみに天文学上の定義では、日の出とか日の入りというは太陽の上端(天頂に近いほう)が地平線に接する瞬間のことを言う。
      それと、「太陽の南中時刻を12時とし」などと勝手に決めているが、その国の標準時刻を決める経線がどうあれ、地球の公転軌道が楕円である以上、南中時刻は一定の幅で変動するはずである。また、少し前にWeb日記でも話題になったが、夜から昼になる時刻の線と、昼から夜になる時刻の線は、かならずしも左右対称にはならないはずだ。解答には影響しない些細なことかもしれないが。
    • 世界史Aの問9のB[マル3]は、河合塾では
      世界恐慌の後に、イギリスは金本位制を停止した。
      となっているが、新聞記事を見れば分かるように、これは、「世界恐慌の開始後に」と訂正されている。ネットで調べたところ、イギリスが金本位制を離脱したのは1931.9.21.、いっぽう世界恐慌は1929.10.24.から始まったので、この選択肢は「誤っていない」ので選ばれないことになる。それはよいのだが、「後に」を「開始後に」に訂正することにどういう意味があったのか、よく分からない。しかし、近い将来にもっと深刻な世界恐慌がおこれば、正解が変わってくる可能性もあるかも。
なお、センター試験問題についての過去のコメントは以下の通り。