じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 カザフスタン・アクタウの住宅事情。
 都市部では集合住宅が殆どであり、新しく建てられたもの【写真上段】のほか、旧ソ連時代に建てられたと思われる古いものもあった【写真右下】。例外的に、カスピ海沿いには写真左下のような邸宅風の建物があったが、個人所有なのか企業・団体所有なのかは不明。


2023年6月14日(水)



【小さな話題】藤子・F・不二雄SF短編ドラマと星新一と藤子不二雄A

 4月21日の日記に記したように4月からNHK-BSPで表記のドラマの放送が開始されたが、同じ日に2話分が放送されたこともあり、一部の作品は視聴できなかった。その後5月29日以降に地上波で再放送があり、また6月4日からはBSPのほうで新たに3話が追加され、全話を録画・視聴することができた。

 全体的な印象は4月21日に述べた内容と同様であり、 といった印象があった。

 以下、今回の視聴した分についてのメモと印象。ネタバレ満載。
  • メフィスト惨歌">』
    又吉直樹さんが出演。もっとも私にとっては又吉さんと言えばヘウレーカという形で完全に刷り込まれてしまっているため、又吉さんが何かの役を演じても又吉直樹さん本人が出ているようにしか見えない。内容に関しては万能細胞ネタが取り込まれていたところに意外性があった。この原作が発表されたのは1979年であり、山中伸弥教授らのチームによるiPS細胞の研究が発表された2006〜2007年よりかなり早いことに驚かされる。


  • 『テレパ椎』
    テレパシー』というのは、超能力者同士の仮想のコミュニケーション手段だと思っていたが、このドラマではあくまで相手の本心を読み取る能力という意味で使われていた。
     ま、現実社会では多かれ少なかれ本音と建て前が使い分けられておりそのバランスを保ち、処世術を駆使することで良好な人間関係が保たれていると言うことはできる。なおドラマでは『テレパ椎』は有害無益のように描かれていたが、使い方によっては大もうけの道具にもなる。ドラえもんが私のためにプレゼントしてくれたらぜひ活用したい。


  • 箱舟はいっぱい
     主人公の名前は『大山』さんで思い出したが、筋書きの一部は『男おいどん』のエピローグ読み切りと似ているように感じた。
     最後のどんでん返しについては予想ができていた。といっても予想が的中したのか、それとも類似の作品の結末を思い出したためなのかは分からない。


  • どことなくなんとなく
     この作品の結末もある程度予想できた。ウィキペディアによれば、「1974年にベストセラーになった『ノストラダムスの大予言』など、当時の「終末ブーム」を反映した作品群の一つ。」とされている。


  • イヤなイヤなイヤな奴
    宇宙船のような長期間の閉鎖空間では、乗組員の間で些細な行き違いから起こる仲間割れ、反乱、暴動という悲劇がつきものとなる。これを抑止する最善の手段が「にくまれ屋」であるという発想が面白い。じっさい国際関係においても、特定の国がにくまれ屋になれば、周辺の国家は結束し少なくともそれらの国の間では紛争が起こりにくくなるという傾向があるように思う。


 上にも述べたが、このドラマは藤子・F・不二雄原作ということで、どうしても藤子不二雄Aの『笑ゥせぇるすまん』と比較したくなる。この原作をアニメ化したものは笑ゥせぇるすまん 公式チャンネルから配信されており、現時点で98本が公開されているという。私もこれまでに1/3前後は視聴している。
 このアニメはどれ1つをとってもバッドエンディングであり「楽しめるアニメ」と言えるかどうかは何とも言えない。各話の主人公は最後は破滅、時には死亡する場合もある。もともと「様々なエピソードを通して、人間が社会生活を営む中で露見しないよう包み隠している、いい加減さ、愚かさ、醜さ、弱さなどの負の部分をあらゆる側面から暴き出し、最も醜悪な形で視聴者の眼前にぶちまける。 」という趣旨であるというが、リンク先にも記されているように、
読者には、圧倒的な力を持つ者が、毎日を必死で生きる一般人をあらゆる手法で闇に突き落とす、という終始救いのないストーリーが突き付けられるが、一過性のブラックジョークではなく、寓話としての読み取りが可能なようにも作られている。セールスマンである喪黒は客に対して大きな力を与えるが、その代わり客は一定期間などの条件付き、あるいは生涯を通して契約を守る必要が生じてしまう。多くのエピソードが、客が喪黒と交わした約束を破ったり、喪黒からの忠告を聞き入れなかったことから破滅を迎え、喪黒が客の素行に対して呆れるという構成になっている。しかしその一方で、喪黒が、自分との約束を破ったと客を断じる理由には強引なものが散見され、客の自業自得ではなく、喪黒自身がヤクザ紛いの手法で因縁を付けて客を破滅に追い込むことも珍しくない。
という特徴、特に下線部に記されているように、もともと守ることが困難であるような約束・条件を交わしたあとで主人公を罠にかけて、「約束を破ったお前が悪い」として破滅させているような展開も多く見られるように思う。

 なお、今回は藤子・F・不二雄SF短編ドラマとの関連で『笑ゥせぇるすまん』を取り上げたが、むしろ、『ドラえもん』と『笑ゥせぇるすまん』を対比させたほうが、特徴がはっきりしてくるようにも思える。『ドラえもん』の道具も『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造さんも、登場人物の願望をいったんは叶えてくれるという点で共通している。ドラえもんの道具は大概の場合は、悪乗りして悪用したり注意事項を守らなかったりすることでトラブルを引き起こすが最後は何とか収束、という展開でまずまずのハッピーエンドとなる。いっぽう『笑ゥせぇるすまん』のほうは大人版の『ドラえもん』とも言えるが、結末は破滅に終わる。登場人物が大人なので自己責任とも言えるが、罠にはめられたと言えないこともない。要するにドラえもんを視て育った子どもたちは、『笑ゥせぇるすまん』に接することで人間社会における醜悪な部分に直面する。もともと、現実の世界、特に人間社会にかかわる諸問題はドラえもんの道具では決して解決しない。なので、不条理な現実を受け入れ、喪黒さんには頼らずに最善の方法を自力で身につける必要があるということになるかと思う。