じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡山では2月6日以降3日連続で最低気温がマイナス4℃以下になるなど厳しい寒さが続いているが、この寒さにもめげず、半田山植物園・西の谷花壇ではチューリップの芽が次々と顔を出している。

2025年02月8日(土)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「ヒーローとは何か?」/英雄と英雌/ヘルクレス座

 2月7日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. ヒーローってもともとなに?
  2. なんでカモの親子は子どもが後ろに並んで泳ぐの?
  3. なんで体験したこともないのにレトロなものを見ると懐かしいと感じるの?
という3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 『ヒーロー』の語源については、放送では「ヒーローは半分神様」が正解であると説明された。世界中の文化の違いを研究している東ゆみこさん(国際ファッション専門職大学)&ナレーションによる解説は以下の通りであったが、そのまえに東さんご所属の『国際ファッション専門職大学』という大学名は初耳だったのでウィキペディアで調べたところ、2017年に改正された学校教育法により導入された最初の専門職大学のひとつであるという。『専門職大学』というのは、
大学のうち、「深く専門の学芸を教授研究し、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を展開させることを目的とするもの」をいう。したがって、実習や実験等を重視した即戦力となりうる人材の育成を目指す目的で設置される。一方で「大学」とあるとおり、専門学校(専修学校)とは異なり、一条校である大学の一種として開設される。新しい制度の大学が設置されるのは、1964年の短期大学制度導入以来となる。学位を得るのに必要な単位のうち実習が占める割合を3割から4割と定めており、これらの実習は企業などの現場で行われる。また、教員の4割以上を実務家が務める。
と説明されていた。2017年の学校教育法改正によりいろいろな専門職大学が開設されているようだが、私自身は2018年春に定年退職しているため、その呼称も経緯も耳にしたことが無かった。

 ということで元の話題に戻るが、解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 『ヒーロー』は漫画やアニメに出てくる超人的な技を使う英雄のことをさすが、もともとはギリシャ神話に登場した『へーロース』、『へロス』が語源。
  2. 『ヘーロース』は人間と神様の間に生まれた「半分神様」という意味。
  3. ヒーローにはメドゥーサを倒したペルセウスや、アキレス腱の由来となった俊足のアキレウスなどがいるが、「苦難を乗り越えて勝利する」というヒーローの基になったのは、ギリシャ神話最大の英雄ヘラクレス。
  4. 放送では、ヘラクレス、ゼウス、ヘラをめぐるギリシャ神話が紹介された。【ネットでざっと検索したところ、こちらこちらに詳しい記述があったのでここでは省略する。】
 ここからは私の感想・考察を述べさせていただくが、まずヒーローは男性限定なのか、それとも女性を含めた呼称なのかについて考えてみる。この点についてウィキペディアでは、
  1. ヒーロー(英語: hero)は、英雄、勇士、華々しく活躍した人、敬慕される人物、小説・演劇などの男性主人公。女性の場合はヒロインと呼ぶ。
  2. 物語などで女性が主人公の場合は「ヒロイン」と称される。また、主人公でなくても、男性主人公の恋人の女性もヒロインと称されることがある(女性主人公の恋人になる男性はヒーローと呼ばれる)。
  3. 英雄的な活躍をする女性キャラクターにあえて「ヒーロー」という呼称を使うことがある(1998年のディズニー映画『ムーラン』など)。これは日本だけでなく、英語圏の米国でも同様である。厳密な男性形・女性形よりも、単語のイメージやニュアンスが優先されたためと考えられる。
と記されていた。ヒーローを漢字で表すと「英雄」となるが、「英雄」の「雄」とは男を意味している。なので女性の英雄『ヒロイン』は「英雌」と呼ぶのがふさわしいようにも思える。じっさい中国語には英雌という造語があるらしい。但し、リンク先によればこれは、清朝末期に湖北省から来た最初の女性留学生、王廉によるフェミニズム由来の造語であるようだ。
 余談だが、「雌雄を決す」という言葉も「動物の世界では雄が強く、雌が弱いという考えから出た言葉。【出典:史記】」であると言われており、勝者が「雄」、敗者が「雌」というように決せられるという発想であれば男女差別につながるような気もする。
 なお、ネットでざっと検索したところ、女性のヒーローとしては、卑弥呼、クレオパトラ、マリー・アントワネット、ジャンヌ・ダルク、マザー・テレサ、ヘレン・ケラーなどの名前が挙がっていた。

 次に、ヒーローが「苦難を乗り越えて勝利する」というストーリーについては、

『100分de名著』:キャンベル“千の顔をもつ英雄”

で考察したことがあった。リンク先に記したように、キャンベルは、
世界中の神話には、「出立→イニシエーション→帰還」という共通構造が見出される。
  1. 主人公の英雄は、何者かの召命を受け、異世界への冒険の旅へと旅立つ。
  2. 異世界で、英雄はさまざまな試練に直面しながらも、それらを乗り越え、大いなる秘宝や自分にとってかけがえのないパートナーを得る。
  3. 最後に英雄は、自らが得たものを携え、さまざまな障害を振り払いながら現実世界に帰還。その世界に豊かな実りや変化をもたらすのです。
という特徴を指摘している。
 こうした「英雄伝説」は有名なヒーローばかりではなく、私たち一人一人の中にも存在する。2月5日の日記にもリンクさせていただいたが、YouTubeの年金生活者へのインタビュー動画: などに登場されている方々はみんなヒーロー。最近はこれらの動画の視聴にすっかりハマってしまった。

 もう1つ、放送で取り上げられたヘラクレスは、星座では『ヘルクレス座』として知られている。といっても、中学・高校時代に天文の部活動をしていた私ではあるが、ヘルクレス座がいつどのあたりに見られる星座なのかはサッパリ分からないし、人生70+α年、おそらくじっさい見たことは一度も無かった【星座のある方向を見たことはあってもそれがヘルクレス座の星であることには気づかなかった】のではないかと思う。リンク先によれば、ヘルクレス座は、全天で5番目に大きい星座であり、夏の夜空ではベガとアルクトゥールスの間にあるが、最も明るいβ星でも2.77等級であるというから、街中では見えにくいようだ。ヘラクレス関連の星座の中には、しし座のようなよく知られた星座もあるのに、神話では有名なヘラクレスがなぜこのような地味な星座になってしまったのかはよく分からない。もっとも、ゼウスやヘラが星座になっていないことからみて、ギリシャ神話での重要度と星座の命名基準は必ずしも一致しないようだ【但し、ジュピターはゼウスのこと。こちらの対応表参照】。

 次回に続く。