じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 昨日の日記では、NHK朝ドラ『あんぱん』最終回の最後のセリフ「嵩さんはウチのアンパンマンや」について考察したが、最終回ではもう1つ、ラストのあたりで初めて登場した犬のことが気になった。
 この犬は、のぶが手術を受けた頃の会話場面(写真A)ではまだ登場しておらず、その後のぶが奇跡的に回復し5年間を過ごしたという場面(写真B、C)で唐突に出現し、最後の2人が昭和記念公園の並木道を歩くシーン(写真D)では再び姿を消している。
 おそらく、のぶが手術を受けたあとにペットとして犬が飼育され充分になついたという時間の長さを表しているものと思われるがイマイチよく分からなかった。写真Dでその犬が姿を消している理由も分からない。5年のうちに死んでしまったということか。なおロケ地の昭和記念公園は「誓約書を提出すればペット同伴可」となっている。

 念のためChatGPTに、以下のように尋ねてみた。

【質問】NHK朝ドラ『あんぱん』最終回で、のぶと嵩が犬を飼っていることを示すシーンがあります。この犬は、のぶが手術を受けた頃の会話場面ではまだ登場しておらず、その後のぶが奇跡的に回復し亡くなるまでの5年間を描いた散歩のシーンや今でインタビューを受けるシーンで)で出現し、2人が並木道を歩く最後のシーンでは再び姿を消している。このように犬を登場させたのはどういう効果をねらったものでしょうか? また最後の並木道シーンで犬が居なかったのはなぜでしょうか?

いただいた回答は以下の通り。

いいご質問ですね。朝ドラの最終回における動物の扱いは、細かいけれど象徴的な意味をもたされることが多いです。いただいた情報を整理すると――
  • **のぶ手術前後の会話場面には犬は登場していない**
  • **のぶが回復してから亡くなるまでの時間(5年間)を象徴する場面では犬が登場**
  • **2人が並木道を歩く最終場面では犬が姿を消している**

このことから、犬には単なる生活描写以上の役割があったと考えられます。
  1. 犬が登場した効果
    • **時間の経過や生活の具体性を示す道具**
       犬は「家族の一員」であり、同じ犬が映ることで視聴者は「あ、もうあの2人の生活は安定して続いてきたんだな」と自然に理解できます。とくに“のぶが回復してからの5年間”をスピーディに描写する際、犬は「穏やかに流れる日常」の象徴として機能します。
    • **癒し・支えの象徴**
       犬は無条件の愛情を注ぐ存在。病気を経たのぶや嵩にとって、互いを支えるだけでなく「犬に癒されて生きている」ことも観客に伝わります。視覚的に温かさを強調する演出です。
  2. 最後の並木道で犬がいなかった理由
    ここには複数の解釈が可能です。
    • **「2人だけ」の象徴的な時間を強調**
       最終シーンは“地上の時間”というより“象徴的な場面”として描かれた可能性があります。犬を連れているとどうしても「日常」の延長に見えてしまうため、犬を外すことで「2人だけの、特別な別れ(あるいは永遠の一体感)」に焦点を絞ったのだと考えられます。
    • **日常(犬あり)と象徴的ラスト(日常を超えた場面)の切り分け**
       犬は「生きている間の日常」を表す存在。最後の並木道は、のぶが亡くなった後に“魂が嵩と共に歩く”イメージとも読めます。そのため、犬=現世的な生活描写は消え、2人の関係性だけが純化された形で描かれたのではないでしょうか。
    • **演出上のシンプルさ**
       並木道を犬と一緒に歩くと、どうしても犬の動きに視線が引っ張られてしまう。最終カットは「視聴者の記憶に残す2人の姿」を主題にしているため、余分な要素を排した可能性も高いです。
  3. ### まとめ
    犬の登場は「5年間の穏やかな時間の具体的象徴」であり、最後に犬を消したのは「日常を超え、2人の関係そのものを抽象的に表現する」ための演出と考えられます。 つまり――**犬=生活、最後=象徴的な二人の時間**という切り分けです。


2025年09月29日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる! 「ベルトの起源」

 9月27日の続き。9月26日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は
  1. なんで船には名前がついているの?
  2. なんでベルトを締めるようになった?
  3. なんで貴様って失礼な言葉なの?
という3つの話題のうち2.について考察する。

 放送では、ベルトを締めるようになったのは「暗殺事件を防ぐため」が正解であると説明された。この番組ではお馴染みの服飾史研究家の辻元よしふみさん&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. ベルトの原形は2000年前の古代ローマ時代に普及した。古代ローマの男性は服装を整えるために細い布ヒモで腰を締めていた。ここから頑丈なベルトに変わっていった。
  2. 古代ローマでは、暗殺目的の短剣や毒薬を隠し持つことを防ぐためにポケットが禁止された。
  3. 古代ローマ人は、お守りや十字架を常に持っていたかったがポケットが禁止されたため、代わりに『サクス』と呼ばれる小物入れを腰にぶら下げるようになった。そのさい細いヒモではたるんでしまうため太いベルトが使われた。なお要人警護で必要な場合はサクスは警備に取り上げられた。
  4. 17世紀頃からヨーロッパではベルトが使われなくなった。
    • 暗殺者は遠方から銃で狙撃できるようになり、ポケットに短剣をしのばせる必要が無くなったためポケットを禁止する必要が無くなった。【ポケットがあればサクスをぶら下げるベルトも不要に】
    • 17世紀のヨーロッパではピチピチのズボンが主流になった。
  5. 19世紀半ばのアメリカで南部では、サスペンダーでズボンをつり上げ上着を着るのが主流だった。
    • しかしアメリカ南部は高温のため、上着を着ないスタイルが流行した。
    • 当時のサスペンダーが露わになるのは下着のままの格好と同じ感覚だった。
    • そこでサスペンダーの代わりに、ヨーロッパの兵士が使っていた剣用のサクスのベルトだった。
    • この軍隊用のベルトがズボンを固定するために使われるようになった。
    • 【補足説明】17世紀のヨーロッパでは貴族や権力者たちの間でポケット付きの服が流行した。きらびやかな装飾を見せびらかす目的のポケットもあった。現代のスーツの上着の裾のポケットは飾りとしてつけていた名残。


 ここからは私の感想・考察を述べる。
 まず放送では、ベルトの起源は古代ローマ時代にあると解説されていたが、世界中どの地域においても、衣服を固定するための帯のようなものはあったはずだ。古代ローマで発明されたベルトが世界中に広まったわけではない。現在のベルトはズボンやスカートなど、下半身衣服がずり落ちないように固定するためにあり、そのニーズがあれば使われるし、腰の部分を締めつけるホックやゴム紐があれば使われないというだけのことかと思う。

 ズボンの歴史については2025年1月31日のチコちゃんの放送で取り上げられているが、今回の話で言えば、アメリカ南部でサスペンダーの代わりにベルトを使うようになったというのがおそらく、今の洋服で使用されるベルトの起源になるかと思う。もっとも、その話だけでは女性用ベルトの起源は説明できない。

 次回に続く。