じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 2010年版・岡山大学構内の紅葉(21)半田山のイエローバンド

 毎年11月下旬に半田山に出現する黄色の帯。黄葉する広葉樹が林道沿いに並んで生えているためにこのような現象が見られる。過去の写真は、 などにあり。

11月29日(月)

【思ったこと】
_a1129(月)日本質的心理学会第7回大会(3)自尊感情、教育の交換価値、内山節氏の著作

 昨日の日記で「発達」の話題を取り上げた。このことに関連して、発達心理学をご専門とするH先生が別のシンポジウムで意義深いご発言をされたので、備忘録代わりにここにメモさせていただく。(なお、少し前からの方針として、学会年次大会のメモ・感想を記す際、招待講演や基調講演については講演者の実名、シンポジウムやワークショップの登壇者についてはイニシアル、もしくは個人を特定しない形で記していくことを原則としている。)

 H先生は、近頃、子どもの自尊感情(self esteem)に関連して「ほめる」ことの意義が強調されているが、単に「ほめる」だけではダメ。家族の中で子どもに役割を持たせ、しっかりと「しごと」をさせることが真の自尊感情を育てることになると指摘された。こういう役割は、かつての農家ではごく当たり前に存在していた。学校から帰った子どもが家のしごとを手伝う、というか、手伝うのではなくて0.5人分の役割を果たすということに大きな意義があった。そういう意味では、いまの子どもは失業状態にある。

 また、内山節氏の著作の中で「しごと」と「かせぎ」が区別されていることにふれ、いまの子どもにとって、学校で学ぶということが交換価値を高めるという目的に変質してしまっていること、具体的には、大学に入るまでには「受験に合格」と交換するために勉強し、大学に入り卒業するという学歴もまた交換価値、大学入学後に取得するさまざまな資格もまた交換価値を高める努力ということになりさがっているということを指摘された。(←あくまで、長谷川の言葉に置き換えた上での理解。)

 こういうご指摘はおそらく、教養教育の再編や「学士力」とは何かといった問題と関わってくると思う。

 余談だが、H先生が内山節氏の著作に言及されたというのは少々以外であった。質的心理学会でもぜひ、内山節氏をお呼びし、H先生ほかとのパネルディスカッションを実現させてもらいたいものである。

※内山節氏の著作については2000年4月21日の日記以降、何度か連載させていただいたことがある。行動分析学会のニューズレターにも、そのことをまとめたエッセイが掲載されている。


次回に続く。