じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 6月17日の岡山はよく晴れて、最高気温は32.2℃となった。5月17日の32.4℃に次ぐ、今年2番目の暑さ。
 写真は、半田山植物園のゲート付近に設置されたミストクールファン『霧丸くん』。園内を一周して汗だくになったあとでこの冷風を浴びると生き返ったような気分になる。


2023年6月18日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる!「眠気の原因」

 6月16日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. 眠気ってなに?
  2. なぜ電子レンジは温められる?
  3. なぜサービスエリアの駐車場は斜め?
という3つの話題が取り上げられた。本日はこれらのうちの1.について考察する。

 さて『眠気』の話題だが、放送では「カルシウムの記録」であると説明された。解説をしてくださったのは上田泰己先生(東京大学、理化学研究所)であった。過去日記を検索したところ、上田先生が出演された番組としては、
  • 2021年7月14日ヒューマニエンス 「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」 その1 睡眠の長さと知性
  • 2021年7月16日ヒューマニエンス 「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」 その3 レム睡眠その2
  • 2021年7月18日ヒューマニエンス 「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」 その5 夢と眼球運動
  • 2022年3月16日ヒューマニエンス「“時間” 命を刻む神秘のリズム」(1)体内時計/昼と夜が同じ長さになる日
  • 2022年3月18日ヒューマニエンス「“時間” 命を刻む神秘のリズム」(3)文明と時間
などがあった。今回は睡眠そのものではなく、それに先立つ『眠気』に焦点があてられた。上田先生によれば、眠くなる仕組みとしては、大きく分けると、
  1. 体のサイクル(体内時計)
  2. 安心・安全な状況を脳が判断。不安や危険があると眠れない。
  3. 疲れる。疲れると眠くなる。昼間に体をたくさん動かしたり徹夜をした場合。
という3つがある。

 このうち3.の眠気の仕組みについては1900年代から研究が行われてきたが長年の謎であった。当初考えられていたのは、『睡眠物質』がたまることで眠気が起きるという仮説であった。1960年頃から1980年代にかけていくつかの『睡眠物質』とされるものが発見されたが、もしそうであるならそれらの『睡眠物質』を創り出す遺伝子を取り除けば睡眠は起こらなくなるはずであった。しかし、それらを取り除いたマウスでも眠ることができたことから、確実に眠気を引き起こす物質は謎のままであった。

 2012年、上田先生は、学会出張でアメリカに滞在中、研究員との一緒に飲んでいる時に、『睡眠物質』ではなく『覚醒物質』のほうに眠気の原因があるのではないかと思いつき、その後、コンピュータ上でさまざまな『覚醒物質』に関わる2000万個の細胞を作り、その中から眠りに関わる1000個を抽出し、それらに共通の仕組みを見つける物質を見つけた。それがカルシウムであったという。
 カルシウムには神経を興奮させる働きがある。食べ物に含まれているカルシウムは体内に入るとカルシウムイオンとなる。そして、筋肉を収縮させたり記憶や学習などをする際に脳内の神経細胞に入り活性化させる。例えば、勉強をしたり運動をしたり感動したりすると神経細胞の中にたくさんのカルシウムイオンが入り込むことになる。ところが不思議なことに、脳を覚醒させる働きをするカルシウムイオンは、神経細胞内に入れば入るほど眠気を起こす働きをすることが分かった。カルシウムイオンは動きが速く、細胞内に入ってもすぐに出て行ってしまう【なので細胞内に蓄積するわけではない】。カルシウムイオンがどれだけ出はいりしたかという記録が眠気と関係していると解説された。これは、会社を訪問した時などに警備の窓口で行われる『入退室記録』に喩えることができる。この記録がびっしり埋まると眠気が起こったり眠りに入ったりする。
 このように、神経を興奮させるカルシウムが眠気を引き起こしていたということが上田先生のチームの研究により世界で初めて発表された【このことから、「ボーッと生きてたら眠気は起きない」ということもできる】。こうした研究は、うつ病やアルツハイマー病など、睡眠異常の出る病気の治療などに役立つと説明された。
 なお、カルシウムを多く摂ればとるほどよく眠れるというわけではないが、カルシウムが不足していると眠りづらかったり良い睡眠がとれないようになる。
 放送ではおまけとしてチーターやキリンの赤ちゃんが眠りに入る映像が紹介された。




 ここでいったん私の感想・考察を述べさせていただくが、私自身は夜の睡眠はきわめて良好であり、また寝付きも良好で布団に入ると10分も経たないうちに眠りについてしまう。夜中に1〜2回、トイレに行くために起きるが、そのあとも速やかに眠ることができる。
 夜中に目が覚めて眠れなくなることは年に数回ほどあり、殆どが日中にコーヒーを飲んだことと関連している。昼食後に飲んだコーヒーのカフェインが夜中まで影響を及ぼすとは考えられないのだが、このこともあって最近午後のコーヒーは避けるようにしている。
 いま述べたように私自身の睡眠時間はたっぷりとれているのだが、それにも関わらず毎日14時から16時頃には眠気に襲われることがある。この原因はいまだによく分からない。これを避けるためにわざとウォーキングの時間帯を14時頃にずらしたりしている。さすがに歩行中に居眠りをすることはないが、今度は、ウォーキングから戻ったあとで眠気に襲われることがある。ではいっそのこと昼寝をすればよいかということになるが、そんなことをすれば今度は夜の寝付きが悪くなってしまう。ということで、私の場合、夜の睡眠は問題ないが、日中の眠気にどう対処するのかが問題。といっても、今回説明された「カルシウムの記録」は全く当てはまっていないように思われる。

 今回の「カルシウムの入退室記録」というのはあくまで例え話であり、科学的な研究としてはカルシウムイオンの出入りを記録するような何らかの仕組み、もしくは出入りの累積頻度に応じて変化する何らかの器官が存在することを意味しているように思われる。上田先生の研究はこちらに紹介されているが、専門用語が多くて理解できなかった。『透明マウス』は以前にも別の番組で聞いたことがある。

 次回に続く。