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5月7日(火)は、半田山植物園の隣にある法界院(金剛山遍照寺法界院)を拝観し、ミニ八十八箇所を巡った。 GW期間中は本殿の秘仏が特別公開されているという案内板があったが、その翌日の5月7日も拝むことができた。 写真は山門の風景。
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【連載】チコちゃんに叱られる! 「なぜ植物は声を出さない?」 少し間が空いてしまったが、5月5日の続き。5月3日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
さて、なぜ植物が声を出さないのかという問いであるが、これは番組制作上かなり無理をしているように思われた。声を出さないとされている生物は植物以外にもたくさんある。例えば、金魚は声を出さない。カタツムリも声を出さない。蝶や蛾も声を出さない。なので、問題の立て方としては、そもそもどういう生物は声を出しているのか? 声を出すことにはどのような適応的利点があるのか?ということを個別に分析するべきであろう。具体的には、まず生物一般は鳴かない(みずから音を発しない)ということを前提とした上で、例外的に声を出す生き物(羽音を含む)について、
いずれにせよ、植物は発声器官が無いので声を出すことができない。蓮の花が咲くときにポンという音がするという俗説があるが、実際にはほぼ無音、せいぜい微かな摩擦音が聞こえる程度であるらしい。 ということで本題に戻るが、放送では「なぜ植物は声を出さない?」という問いに対して、「いいや叫んでる!」という反論が提出された。 植物の生態を研究している豊田正嗣さん(埼玉大学)&ナレーションによる解説は以下の通り。
ここからは私の感想・考察になるが、植物内部、あるいは、異なる植物間の情報伝達については、私自身も、 ●【2023年12月11日初回放送】ヒューマニエンス「“植物” 支配者は周りを動かす」
もっとも、今回の話題はそもそも「なぜ植物は声を出さない?」であり、化学物質を発するという発見をいくら紹介しても、「実は声を出している」という反例にはならないように思う。最初に紹介されたテルアビブ大学の研究も、可聴域の音に変換しているということなので、声を出したと言えるかどうかは微妙。 あと、人間以外では、一般には、発信者の様々な反応が受信者によって利用されるだけで「コミュニケーションが成立した」と見なされる場合が多い。極端に言えば、有利であろうと不利であろうと、発信者の情報が受信者によって利用された時にはコミュニケーションが成立したことになる。例えば海を泳いでいて怪我をた時に、その傷から放出される血の匂いがサメに感知されサメが集まってきた場合もコミュニケーションの一種となる。コミュニケーションの中には、発信者と受信者の両者に有益な場合もあるし(例えば受粉)、発信者だけが有利になる場合(例えば擬態)や、いま述べたサメの例のように発信者には不利で受信者のみが有利になる場合もあるように思われる。 上掲のヤナギとカメノコテントウのコミュニケーションは珍しい発見のようにも見えるが、単に昆虫が花の匂いを手がかりに集まってくることもすべて植物・昆虫間のコミュニケーションであると言えないこともない。また、カメノコテントウは単に、ヤナギが発するニオイ物質を手がかりとして利用してヤナギルリハムシの幼虫を食べに来ただけと言うこともできる。 ま、それはそれとして、植物が個体内で何らかの情報伝達の仕組みを持っているという可能性はなかなか興味深い。もっとも、それらは完璧な仕組みとは言いがたいようだ。ウマノスズクサを食い尽くすジャコウアゲハの幼虫などを観ていると、ちっとも防御反応が機能していないのではないかと思ってしまう。 次回に続く。 |