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【連載】チコちゃんに叱られる! 「おそろいにしたくなるのは島国に移住した日本人の不安が高いから」という胡散臭い説明 昨日に続いて、11月22日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
放送では、仲よくなると「おそろい」にしたくなるのは「まだ仲よくないから」が正解であると説明された。臨床心理士の藤井靖さん(明星大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。なお藤井さんは、2022年12月2日初回放送の「心が折れるとは?【←実際は「心を折る」】の時にも登場されている。
なお、上掲の「不安」に関連して、「“私はワクワクしている”と叫びながら変な踊りを踊れば不安は解消されるか?(2023年9月15日初回放送)」でヘンテコな踊りを踊っていたディレクターは現在は転職し、地方で彼女と仲よく暮らしているという余談があった。彼女とおそろいの服を着ている写真からみて、まだ不安は続いていると推測された。 最後に藤井さんから、 ●不安遺伝子の多い日本人は、神経伝達物質・セロトニンが外国人に比べて少ない状態であると言われている。日光を浴びたり、ストレッチやウォーキングなど日常生活を少し見直すだけでセロトニンの量が増え、不安な気持ちになりにくくなる効果がある。 という補足説明があった。 ここからは私の感想・考察を述べさせていただくが、まず私自身、50年以上にわたって心理学に関わってきたが、「アメリカの心理学者であるバーナード・マインスタイン」というお名前や『SVR理論』についてはこれまで一度も耳にしたことがなかった。さっそくネットで検索してみたがウィキペディアには項目がなく、『SVR理論』についても出典をたどることができなかった。私の勉強不足なのか、単に私とは研究分野が違うからなのかは不明だが、いずれにせよ、諸説あるなかで、 ●ある一人の心理学者がこう言ったから正解はこうだ。 というのでは何とも心許ない「説明」である。 ネットで「SVR理論」を検索したところ、多くは恋愛関係の発展に関わる一般向けの説明であった。しかし、おそろいの服を着るのは、恋愛中の男女ばかりではあるまい。同性の友人、時には親子でおそろいの服を着ることもある。別段、S→V→Rというように発展しなくてもよいような関係も含まれているように思う。 上掲の4.〜8.の説明はかなりあやしい。疑問に思った点を挙げさせていただくと、
ということで、全般的に胡散臭さを感じざるを得なかった。 ま、心理学にもいろいろな立場があり、私とは異なる立場であってもそれなりに役立っているのであればそれで構わないとは思うが、科学的な根拠が不確かな説は何年経っても発展せず、まことしやかな解釈の繰り返しに終わってしまうように思う。藤井さんの解釈への批判ということではなく、世間一般の俗説に対する警鐘として、
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