じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 鉢植えのクリスマスローズが開花。以前、ポット苗をいくつか購入したが、ベランダでの栽培は難しく、この1鉢以外は露地植えに切り替えた。


2020年2月17日(月)



【連載】#チコちゃんに叱られる! 「大阪の人がエスカレーターで右側に乗るのはなんで?」

 2月14日放送のNHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。本日は、
  1. 大根おろしの辛さってなに?
  2. なんで浴槽のことを湯船っていうの?
  3. 大阪の人がエスカレーターで右側に乗るのはなんで?
という3つの疑問のうち3.について考察する。

 「大阪の人がエスカレーターで右側に乗るのはなんで?」は、ネット上でも時たま話題になっている。私自身がWeb日記で取り上げたのは2002年頃からであった。
 このほか、「左右」に関する一般的な問題については、以下のような連載として取り上げたことがあった【但し未完】。
 元の話題に戻るが、「大阪の人がエスカレーターで右側に乗るのはなんで?」についての有力な説明は、番組でも取り上げられた「阪急起源説」である。今回の番組によれば、
  • 1967年、阪急梅田駅にエスカレーターや動く歩道が設置されると、せっかちな大阪の人たちが歩いて利用するようになった。
  • そこで阪急電鉄は「お歩きになる方のため、左側をお空け願います」というアナウンスを行った【実際のアナウンス音源あり】。これによって大阪では右側並びの習慣ができあがった。
  • 阪急電鉄によれば、1967年頃から1998年まで「右側並び」を促すアナウンスを流していたのは事実であるが、なぜ右側並びにしたのかははっきりとは、分かっていない。
  • 現在は止まって手すりにつかまることを推進している。
 いっぽう、東京での左並びは1989年頃に始まったという。その1つは、地下鉄・新御茶ノ水駅に作られた長いエスカレーターが誕生し、歩く人を避けるために左側に並ぶ習慣が生まれたと説明された。

 以上までの説明、特に「阪急起源説」はしばしば耳にする説であるが、私は未だ納得できない点がある。
  1. 左並び、右並びというのは文脈に依存して形成される習慣であり、阪急梅田のエスカレーターでアナウンスされたというだけのことで、大阪地方一帯に般化、定着するとは考えにくい。他にも何か原因があるのではないか?
  2. 大阪以外の地域でなぜ左並びが多いのかについて、しっかりとした説明が必要。
 このうち2.については、番組では、日本の交通ルール(車は左側通行で追い越しは右車線なので、それと同じルールで右側から追い越す)が影響したのではないかと説明されていた。実際、車が右側通行となっている、フランス、中国、イタリアでは、エスカレーターでも右並びの傾向があり、いっぽう、車が左側通行となっているオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールではエスカレーターで左並びの傾向があるという(但し、イギリスでは、車が左側通行なのにエスカレーターは右並び)。なお、2005年頃に北京に行った時は、地下鉄のエスカレーターでは右並びが推奨されていた【こちらに証拠写真あり。但し、当時の利用者はあまり守っていなかったように見えた。】

 なお上記の「交通ルール説」をより説得力のあるものにするには、動く歩道、石段でのすれ違い、地下道でのすれ違いなどにおいて、歩行者が道路のどちら側を歩くのかについてもデータを示す必要がある。また、上りと下りのエスカレーターが対面型に設置されている場所では、どちら(自分が乗る側)が左になっているのかも大きく影響すると思われる。

 私自身は、大阪を訪れた時は右並びに従うが、それ以外の地域では左側に立つことが多い。理由は、重い荷物を右手で持つため、左手で手すりに掴まったほうが安全になるためである。

 ま、いずれにせよ、現在では各地で、エスカレーターには歩かず、手すりに掴まって利用することが推奨されている【なぜ歩くと危険なのかについてはこちらに考察あり。但し、リンク切れあり】。大阪では右並び、その他の地域では左並びという奇妙な現象もいずれ消え去ることになるだろう。

 次回に続く。